退職から開業までの実体験 ~ミドル・シニア層の起業への道~

◆行政書士・社労士事務所の開業を目指して
私は、ゆくゆくは行政書士と社会保険労務士を兼務する事務所を立ち上げたい と思い、長年勤めた会社を退職しました。
一般企業での実務経験はある程度はありましたが、士業の世界は異なるため、できれば他の事務所で少し修行をしてから独立したいと考えていました。しかし、いざ求職活動を始めると、士業事務所の求人はほとんどない という厳しい現実に直面しました。
そこで、求職と並行して起業の準備を進めることにしました。
◆退職後の手続きと想定外のトラブル
退職後、まず必要だったのが 雇用保険の手続き です。通常、退職後に会社から「離職票」が送られてきて、それをハローワークに提出して失業手当の申請を行います。
しかし、退職後20日経っても離職票が届かない という事態が発生しました。離職票がないと求職の申し込みができず、失業手当の給付開始時期も遅れてしまいます。
そこで、ハローワークに直接行き、事情を説明しました。幸い、退職時にもらった「退職金の源泉徴収票」があったため、それを基に退職日を確認してもらい、仮手続き を進めることができました。
※反省点
退職時に会社から「退職証明書」を発行してもらっておけば、もっとスムーズに手続きができたと思います。これから退職を考えている方は、離職票とは別に退職証明書も用意しておくことをおすすめします。
◆求職と起業、どちらを選ぶか
求職活動を進めつつ、起業も念頭に置いて多方向で活動していました。
しかし、結局、士業事務所の求人は出ないまま時間だけが過ぎていきました。 求職と起業を同時並行で進めていましたが、求人がない以上、開業の道しか残されていません。
退職から2か月後、ついに起業を決意しました。そして、月末にハローワークへ行き、起業する旨を報告。待機期間+1か月、というのは知っていたので、職員さんから「再就職手当」についての説明を受けました。
◆再就職手当の壁
再就職手当を受給するには、いくつかの条件があります。
• 1年以上事業を継続する見込みであること
• 申請期限は起業報告後1か月以内
• 事業の実態を示す書類の提出
特に、「申請期限である1か月以内に事業の実態を示す必要がある(例示されたのが「業務委託契約書」。つまり、「売上」が必要とのこと。)」 という点に大きなプレッシャーを感じましたが、ここで諦めるわけにはいきません。期限を区切ることで売上を取りに行く覚悟が決まり、奮起するきっかけになりました。
※経験して感じたこと
開業準備は、いくらしても完璧にはなりません。
士業としての実務経験がなくても、求職活動がうまくいかなくても、「残りの人生で一番若い“今”が、一番行動を起こしやすいタイミングだ」と感じました。
中高年の起業(に限らず、転職や再就職も)は不安が伴いますが、健康に働ける時間には限りがあります。だからこそ、今できることに全力で取り組み、後悔のない選択をすることが大切 だと実感しました。
退職から開業までの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、今振り返ると、この経験があったからこそ、強い覚悟を持って事業をスタートできたのだと思います。
◆これから起業を考えている方へ
準備に完璧を求めすぎず、一歩踏み出す勇気を持つことが大切です。あなたのこれまでの経験や知識は、必ずあなたを助けてくれるはずです。
当事務所では、開業準備や手続きのサポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。